第七十回本法寺寄席 (平成十四年五月二十九日)

口上


 円遊が両国高校を卒業しましたのは、昭和三十七年のことです。すぐ先代に入門しましたから、芸歴は四十年を少し越えました。長い歳月は、ゴールのない 修行の積み重ねだったに相違ありません。
 現在の圓遊にとって、これまでと変わらぬ研鑽の場の一つとなっているのが「本法寺寄席」です。この独演会で、圓遊は珍しい噺を掘り起こし、これまで 演じたことのない落語に挑み、終わりのない勉強を続けています。「本法寺寄席」は、浅草田原街にある、「はなし塚」ゆかりの本法寺でほぼ隔月に行われており、 高校の先輩方が、真打ちに昇進したばかりの圓遊を応援してやろうと始まったものです。それが今年の五月で七十回になるといいます。
 圓遊がいくら頑張っても、皆様のお力添えと支えがなければ、「本法寺寄席」は、これほど回を重ねることはできません。四十年以上の落語家生活も、 周りの人たちのお陰です。こうした感謝の意味を込めて、五月二十八日(火)に亀戸のカメリアホールで、芸能活動四十年、「本法寺寄席」七十回記念と銘打った 独演会が企画されています。来年還暦を迎えることもお祝いしようという趣旨だそうで、せっかちな圓遊らしくておもしろいではありませんか。なにかとお忙しい こととは思いますが、 今からご予定に入れていただければ幸いです。

本法寺寄席席亭 石橋達恭

ご挨拶

 初めての大きな自主公演ですが、正直どういう段取りでご案内申し上げて良いか分からず、取りあえずポスターを作成いたしました。 後日改めてご案内させて頂く事になると存じますが是非今からスケジュールにお書き込み下さり、当日はお誘い合わせの上、 にぎにぎしくご来場下さいます様お願い申し上げます。

五代目 円 遊 拝

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 第六十九回本法寺寄席 (平成十四年二月二十日)

還暦を前にして


 来年は還暦を迎えることになります。還暦ですぞ還暦!つまり六十才。大成していなければならぬのに未だ未完成。老妻を労る日々を送らず、いつか娶るはずのまだ見ぬ後妻に老いの血潮をたぎらせ(逆になるのも知らず、哀れなり)「近頃の若い者は」と立腹もせず、楽屋の年寄りが長生きする事を嘆くことしきり、精進料理の深い味わいに舌鼓を打たず、レバ刺、ユッケの大盛りをお替わりし、一日一万歩歩いて満足せず、少なくとも二万歩走破しカンラ、カラカラそれ程迄して若さを保つ目的は?と問われれば、 「五月二十九日、亀戸駅前カメリア・ホールでの本法寺寄席七十回記念公演」を、無事成功させたい為なり。
 今日ご来会の善男善女は、当日の集客に只只ご尽力下さいませ。

五代目 円 遊 記

追伸 使用済カード・切手のご協力をお願いします。
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 第六十八回本法寺寄席(平成十三年十一月二十二日)

七十回記念公演について


 両国高校のOB会「淡交会」の有志の方々のお集まり「淡交倶楽部」主催で「後輩の若円遊を応援してやろう」と 昭和五十九年に始まった落語会。
 先代のご住職が両国高の前身「府立三中」のご出身、戦時中に禁演落語をおさめた「はなし塚」が、 当時の境内に建立されているという二つのご縁で、ご本堂を借用させていただいた次第。 
 三回目からは「本法寺寄席」と銘打ち、年四回開催となり、お陰様して六十八回目を迎えることになりました。ありがとうございます。 
 来年二月に六十九回、そして五月に記念すべき七十回と小生の落語家生活三十周年、加えて還暦一年前記念(?)をドッキングして落語会を 開催したいと考えております。 
 変わらぬご声援とお知り合いの方々へのお声かけを今からお願い申し上げます。

五代目 円 遊 記

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 第六十七回本法寺寄席 (平成十三年九月五日)

真打ちをとる


 昭和三十七年入門、五十一年真打ち昇進、苦節十四年、今だに苦節から逃れておりません。

 今の楽屋は石を投げれば真打ちに当たるとも言われておりますが、さて真打ちとはなんぞや?

 (上・中・下)席の昼席、又は夜席十日間の興行で最後の高座をつとめる(真打ちをとる)事が出来る事がステータスですかね。昔は席亭さんから是非にと お声が掛かり顔付け(番組作り)の座にも連なり、その席の重責を負い、さすが入り(お客様の) が良かった等の楽屋雀の評判を気に掛け、中日には前座・下座・外面方に祝儀を配り、楽屋には酒・寿司等を差し入れ、千秋楽(楽日)には落ソバと言って ソバをふるまったそうです。今は地味になりましたが真打として矢張りお客様の入りが気になります。

 九月上席(一日―十日)新宿末広亭の昼席の真打をとらせて頂きます。

 是非ご声援にお出かけ下さいませ。

五代目 円 遊 記

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 第六十六回本法寺寄席 (平成十三年五月二十三日)

夫婦のとき


 本当、大変な時代になっちゃったね。笑い話じゃすまないやね。現状はと聞かれると「荒波の中の孤島に神さんと二人置き 去りにされた様」電話も勧誘話のみ、訪ねる者もセールスマンだけ。世の中から忘れられてしまったのかと不安にさいなまされる毎日を送って おりますが「神が男と女を作り悪魔が男女を結婚させる」とか。悪魔に感謝しつつ神さんにすがって生きております。「お父さんの至福の時っ て随分長いわね。枯れオチバが濡れオチバになっちゃった」と揶揄されながらがも、温泉地に連れて行ってもらい美酒に酔い料理に舌鼓を打っ てかわのせせらぎの音を子守唄に六時に床に就いております。こんな時代は夫婦で互いを、そして家族でを守っていく。こんな当たり前のこと を照れずにやって行く事が大事なんでしょうかね。

どうです、ご同輩。

 「でも、お仕事のお電話をたまには欲しいわ」(コレッ 神さんの声)

五代目 円 遊 記

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 第六十五回本法寺寄席(平成十三年二月六日)

今を大事に


 遅ればせながら、謹賀新世紀今年もよろしくお願い申し上げます。

 屋根裏部屋が物置になっております。「飛ぶ鳥跡をにごさず」の心境で片付けに着手しました。なんだかわからないものなんかとか、 数十萬で買わされた健康器具とか、神さんが娘時代(あったんだって)に愛用したタイプライター、好事家が見たらヨダレを垂らしそうな 新聞、雑誌の切り抜き、落語会のポスターパンフレット等々全て心を鬼にして不燃物のダンボール入り。スッキリした部屋を見て、

 「人生って足跡以外ナニも残せないものなのだ」と実感しました。

 「無で生まれて無で旅立つ」、だから今をもっと大事にと思った一日でした。

五代目 円 遊 記

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 第六十四回本法寺寄席 (平成十二年十一月二十九日)

二十一世紀の展望

 二十世紀最後の独演会にようこそ。>

 さて二十一世紀はどんな世紀になるんでしょうかね。五百兆円の借金を抱え、それでも公的資金を投入し債権放棄を認め、倒れ掛けた企画を 無理矢理立たせ、それがいつか外国企業の傘下になり、血税が全て吸い尽くされてしまうのでは、又、全ての面で一強?弱となり、勝者は独占者となり弱者は消え去るのみという格差の時代を予見しております。

 例えば超高層マンションの六億円のペントハウスに住む人もいれば、三千万円の低層階に住む人も又必要なんだよね。

 暗いスタートになるかも知れませんが、庶民のパワーは計り知れないものが有るはず、落語のハッちゃん、熊さんに負けず頑張って 参りましょうや。

 ねッ御同輩!

五代目 円 遊 記

追伸 月末ですが、今からご多忙なスケジュールにお組み込みの上ご来会くださいませ。
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 第六十三回本法寺寄席 (平成十二年九月六日)

「誕生日」に想う


 今日で満五十七才になりました。孔子に遅れる事七年で「知命」という心境です。
 子育ても終わり今更サマージャンボを買う欲も必要もなくなり、女性の追っかけも
本法寺にワンサと押し掛けて下さり、肉体的対応も今で手一杯(どういう事?)枯淡
の境地に早くも踏み込んでおります。得意な噺を練り上げつつ新しいネタを仕入れ満足せず立ち止まらず、励んだ結果老木に花が只の一輪でも 咲けば結構、咲かなくてもこれが己れの人生と思えば、これも又幸いなるかなというところ。

 仕事もガツガツせずお声が掛かれば出掛け、例え迎え手は少なくとも精一杯つとめ、お客様の満足からの盛大なる送り手(含、ご祝儀も)を 頂き帰路につく。これ又幸いなるかな。唯一の楽しみは晩酌に缶ビール一本にお酒を二合半(この半がいけないんだよね)飲み早寝早起の 日々幸せなり我が人生。

 人生振り返るな、やり直しはきかないんだから、この道を歩いて来た自分をいとおしんでやれよ。そうだろうご同輩!

五代目 円 遊 記

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 第六十二回本法寺寄席 (平成十二年五月三十日)

大正デモクラシー落語論


 江戸中期から明治初頭の頃のお噂さが古典落語で、新作落語は勿論、今の時代を反映した噺というのは、ご存知の通り ですが、エポックになっているのが文明開化と言われた明治後期から大正時代の落語じゃないでしょうか。「士農工将」の余韻が今だに 残る中、時流に乗った官僚・軍人と世の中の変化にとまどう庶民との落差が、お笑いの素になった様です。

 洋行帰りをひけらかすかの様に外国語を駆使する半可通や、いやに漢文を混えて話す先生と呼ばれる御仁に「目覚めた」と自負する御婦人達に対し 「一寸、違うんじゃないか」と思いながらも恐れ入るその道の八ッつあんに熊さん達、そんな生活の一端を今回はごひろうする事に いたします。

五代目 円 遊 記

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 第六十一回本法寺寄席 (平成十二年二月三日)

「ギャルってナニ?」

 魔法使いのお婆さんも考えつかなかった色の髪。

 炭坑口からまさに今、出て来たような顔色。

 ウドン粉の中から手を使わずにアメ玉を探し出すバツゲームをやり終えた様な口元、ヘソ出しルックに加えて、ひざ上というより 股下から計った方が早いようなミニスカート、後何センチか高かったらピエロがつとまる様な(それこそ)チョー厚底のブーツ姿、 物に動じない小生もさすがに振り返って見てしまったら、
 「ナニ!見ているんだよ!」と一喝されてしまった。
 「昔は・・・」という年になった訳ではないだろうが、つい「日本の行く末は?」という気分になりますね。
 若さの特権というかも知れぬが、若さ故のはつらつとした美しさを、もっともっと大事にして欲しい。と思うのは
 「年寄のくり言」かしら。なさい
 時代を駆け足で追いかけている毎日です。

五代目 円 遊 記

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