基本解析機能
ETABS は、優れた構造解析・耐震解析機能を備えています。主な解析機能は以下の通りです。
静的弾性解析
- 静的荷重解析
- 支持点に作用する強制変形荷重に対する解析
- P-⊿効果を考慮した解析
動的線形応答解析
- 固有値解析とリッツベクトル解析。
- 動的線形応答解析としては、周期的な荷重を考慮できる周期解析と、地震力のようなランダムな荷重を考慮できる過渡応答解析があります。
- 周期解析では、周期的な外力荷重(1周期分)として機械振動のような調和振動波形(SIN、COS 波)や、 風荷重や波浪荷重のような定常振動波形(調和振動波形でなくてもかまいません)を与え、1 周期分の応答値を計算します。
- 過渡応答解析は通常の時刻歴応答解析です。
- 周期解析と過渡応答解析はモーダルアナリシスを適用して応答値を計算します。
- 地震応答解析では、入力地震動として最大 3 成分(水平 2 成分+上下成分)まで同時に考慮できます。
- 地震応答解析法としては過渡応答解析法以外に、応答スペクトル法を適用することができます(水平 2 成分+上下成分考慮可能)。
- モード別応答組合せ法として SRSS 法、CQC 法、GMC 法(Gupta Method)を選択できます。
- 地震力以外の動的荷重としては、任意ジョイントに作用する時刻歴外力荷重(風荷重、波浪荷重、スラブに作用する機械振動荷重他)も考慮できます。
- 入力地震加速度や時刻歴外力荷重データはテキストファイルから読込みます。
- 応答解析結果(応答変形形状/振動モード形状)のアニメーション(動画)出力も可能です(Windows 標準 AVI ファイルに保存)。

非線形時刻歴応答解析
- 非線形時刻歴応答解析で考慮することのできる非線形特性は、リンク要素の非線形特性のみです(注:フレーム要素やシェル要素他の非線形特性を考慮することはできません)。
- リンク要素は2つのジョイント間(あるいは1ジョイントと固定地盤間)に配置し、2 点間の軸変形・純曲げ変形(2 成分)・せん断変形(2 成分)・捩り変形の各変形成分に対するばね特性(線形・非線形)をモデル化できます。
- また梁・柱・ブレース材接合部のパネルゾーンの非線形特性をリンク特性でモデル化することもできます。
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リンク要素の非線形特性はつぎに示す 5 種類があります。
- 粘弾性ダンパー特性:Maxwell 型。
- ギャップ特性:ある距離以上引張側または圧縮側になるとばね特性が0となる。衝突問題に適用。
- バイリニヤー型履歴特性:6変形成分それぞれに対して独立な塑性ばねをモデル化できます。
- 塑性型免震特性:積層ゴムをモデル化。水平 2 方向に連成するバイリニヤー型履歴特性を考慮可能。鉛直ばねは線形。
- 摩擦振り子型免震特性:摩擦係数は速度依存特性を考慮可能。振り子半径は自由に設定可能。フラットな滑り面のモデル化可能。水平 2 方向の履歴特性を同時に考慮可能。鉛直ばねは非線形ギャップ特性でモデル化。
- 非線形時刻歴応答解析はリッツベクトルを用いて効率的・高精度に計算する手法を採用(モーダルアナリシスを修正して適用)。

非線形荷重増分解析
- 荷重増分解析では、フレーム要素(柱や梁)の塑性ヒンジ特性(鋼材、RC 材)を考慮した非線形解析が可能です(米国 FEMA/ATC-40 準拠)。
- 曲げモーメント・せん断力・軸力・捩りモーメントに対する塑性ヒンジ特性を考慮できます。
- 軸力+2 方向曲げモーメント(P-M2-M3)連成効果を考慮できます。
- デフォルトヒンジ特性(ATC-40、FEMA 対応)を適用することができます。またユーザー独自の塑性ヒンジ特性を設定することもできます。
- 塑性ヒンジ位置はフレーム要素の任意位置に設定できます。
- 荷重として任意荷重パターンを適用できます。重力荷重+水平荷重に対する増分解析ができます。
- 荷重条件ごとに荷重制御と変形制御のどちらかを選択できます。
- 塑性ヒンジの進展状況(変形、要素力ダイアグラム)を出力できます。
- ベースシヤ-力の進展状況を出力できます。

建設工程荷重解析
- 建設工程荷重解析では、建設途中の構造モデルに対する荷重解析が可能です。
- 自動的に各階建造時のモデルに対する荷重解析ができます。
- 柱の P-⊿非線形効果を考慮することもできます。
